燃料をめぐる欧州とロシアの駆け引き
ロシアが欧州向けの天然ガスのパイプラインでの供給を再開するそうです。戦況と燃料相場を材料に複雑な駆け引きが行われます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c1e75c10910d603318898548be608e6ee3b8ea9f Yahoo!ニュース ロイター 最終閲覧日2022年7月20日
[モスクワ 19日 ロイター] - ロシアと欧州を結ぶ主要ガスパイプライン「ノルドストリーム1」経由のロシア産ガスの供給は定期メンテナンスが終了する21日に再開される見通しと、複数の関係者がロイターに述べた。
元々ロシアがウクライナに侵攻した背景の一つに、ロシアの天然ガスを当てにしている欧州諸国はウクライナを支援しないだろうという読みがありました。それは当初は外れましたが、戦争が長引くにつれ、天然ガスを止められた欧州諸国は燃料高騰に苦しんでいます。
一方でロシアも、天然ガスや原油を中国が買ってくれるとは言え買い叩かれており、欧州が相場通りで買ってくれるならその方が助かります。
そんなお互いの打算の一つの着地点が今回の天然ガスパイプライン再開です。
それに反応したか、原油相場WTIは、1バレル100ドルを割り込んでいます。プーの7月14日の記事で原油相場の値下がりに言及しました。すぐ後に値上がりしましたが、今日は再び下げてきています。
WTI 原油相場 2022年7月20日 日本時間23:20頃
「ロシアが欧州向けの天然ガスの供給を再開」というニュースは供給の増加なので燃料価格の下落要素です。一度に大量に供給再開すると燃料相場が急落してロシアが苦しくなります。
一方で、ロシアから燃料の供給を受けた欧州の国はウクライナを支援しにくくなります。
そしてロシアウクライナ戦争の戦況ですが、ウクライナが南部で反攻を始めたそうです。
これが上手く行ってくると、欧州各国の胸算用としては「うちが支援しなくてもウクライナは大丈夫」と制裁に対する気持ちが緩んでロシアの天然ガスの大量買い付けに踏み切る動機が生じます。
結局、ウクライナ優勢 → 制裁緩和 → ロシア優勢 → 制裁強化 の均衡で戦争が長引くのではないかと思います。
それを打破するには、燃料の消費を減らして燃料相場を押し下げ、ロシアの収入源を減らすこと。日本国では原発再稼働が有力な手段になります。
岸田首相が原発再稼働を指示したそうです。
それはロシアウクライナ戦争の終結に向けて日本なりに出来ることでもあります。
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