デフレ克服には
衆議院予算委員会の論戦で、消費者物価指数が話題になりました。一般にデフレは悪とされていますが、その理由を考えれば、答えは見えてきます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160108-00000550-san-pol
安倍晋三首相は8日の衆院予算委員会で、アベノミクスを批判した民主党の枝野幸男幹事長を「全く本質を見ていない」と挑発した。
枝野氏は、生鮮食品を除く消費者物価指数が横ばいであることを指摘し、首相に「もはやデフレではない、と胸を張っているのはどういうことか」と質問した。
首相は「枝野議員はまったく本質を見ていない。原油価格が大幅に下落している。これを除いてみれば、民主党政権時はマイナス0・7%、安倍政権は0・8%で、マイナスからプラスになっている。本質をよく見て質問してほしい」と反論した。
これに対し、枝野氏は「都合がいいところだけ言っている」と再反論した。
「都合が良いところ」は、安倍氏と枝野氏のどちらも主張していますが、どちらにも理があり、あとは政策実行力の問題です。
消費者物価指数(CPI)には、総合、生鮮食品を除く総合(コアCPI)、食料及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)があります。
総務相統計局のサイトです http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.htm
2014年に矢鱈高いのは消費税増税の影響です。
去年後半がどうだったかというと、総合・コアCPIが横ばいで、コアコアCPIは上昇しています。
枝野氏の指摘はコアCPIが横ばいなのにデフレでないと言うのか、ということで、それはそれで正しいです。
一方、安倍首相は、エネルギーを除けば(コアコアCPI)インフレだ、と主張しており、これも正しいです。
両者で一致するのは、「デフレは悪」です。
何故デフレが悪かと言えば、人々の購買意欲が減退し、金回りが悪くなるからです。
今あるお金の価値が将来上がるなら、人々は出来るだけ現金のまま取っておきたくなります。そうすると、買わない→企業は作らない→賃下げリストラ→貧困→買わない→(以下略)の「デフレスパイラル」に陥ります。
逆に適度なインフレは、上の逆回転により人々は豊かになります。アベノミクスはこれを目指してきました。
安倍首相の主張は、エネルギー安は海外要因であり日本国の政策の力の及ぶことではない。出来る範囲ではコアコアCPIが示すように実績が出ている、というものです。
しかし総合指数が上がらないことには、デフレスパイラルから脱出できないことも確かで、枝野氏の指摘も正しいです。
ではどうしたら良いのか。
それは内需拡大。そのためには一層の金融緩和と給付金です。原油値下がりによりエネルギー輸入額は年10兆円も節約出来ており、原資はあります。
そして、それを妨げる消費税増税の延期または中止です。
おそらく今年の世界経済は激動です。
少なくともこのタイミングでの消費税増税は見送るべきです。
もしかしたら、安倍首相はこれを争点に衆参ダブル選挙を仕掛けるかもしれません。
郵政選挙のような雪崩現象が起こるか。無理と思えば解散しません。
今年のピンチをチャンスに繋げたいです。
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