原油安、6年ぶりか10年ぶりか
最近ようやくガソリン価格も下がった実感が出てきました。原油先物はリーマンショックで下がった時の水準に迫っています。これを抜けるかどうかが当面の問題ですが、再び高騰することは数年内には無いと考えます。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6184066
14日の東京商品取引所では、中東産(ドバイ)原油先物が大幅続落した。取引の中心となる2016年5月決済物は前週末比1190円安の1キロリットル当たり2万9110円と、節目の3万円を下回り取引を開始した。夜間取引では一時2万8380円まで下げ、2009年3月以来、約6年9カ月ぶりの安値を付けた。前週末に急落した欧米原油先物相場の流れを引き継いだ。 (時事通信)
アメリカの原油先物のチャートです。今は35ドルくらいです。
10年前から上がり始めて147ドル、リーマンショックで下げて33ドル。アメリカ等の金融緩和で上げて115ドル、欧州・中国の景気悪化で今は再び下げています。
何処まで下げるのか。
3年前の自分のエントリーです。
http://ayoshidamd.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-beda.html
リーマンショック前後が147(ドル)→30で1/5だから、今回は115→23ドルと予想しますがどうでしょう!?
当たるでしょうか??
直近はリーマンショック後の33ドルが防衛ラインです。今は一旦停滞、17日のアメリカの利上げ決定や今後の利上げペースの発表如何に懸かっています。ここで一気に下抜けるか反発するかが決まります。
アメリカの利上げはマネーが債券に向かう、すなわち投資の引き揚げで、原油には下げ要因です。但し投機筋はそれを織り込んで予め空売りしているので、発表が予想通りなら彼等の買い戻しによって原油は一旦上げます。逆に予想以上に利上げが続きそうなら自分の予想のレベルまで下がるでしょう。
予防線を張るようですが、底値がいくらか、というのは大した問題ではありません。
原油の採掘コストに基づけば、20ドルを下回ったら(現状でも?)中東以外で採掘出来ないので純粋な需給関係では供給側として有り得ないレベルで、必ず戻ってきます。
逆に上値の目安は、アメリカのシェールガスの採算ラインが60ドル程度なので、これ以上では供給が増して下げてゆきます。
需要の面では中国次第ですが、基本的には景気の悪化に伴って今後も減少する見込みです。
つい1年半前までの原油の高値は投機筋のせいであり、あの頃は原油の輸入、我々消費者にとってはガソリン代などで苦しかった訳ですが、それが再び来るかと訊かれたら、自分はノーと答えます。
リーマンショック前のバブル景気とショック後の金融緩和は、共に有り余るマネーが原油他の商品に流れ込みました。それが需給関係を超える高騰の正体です。
金融緩和は日中欧が実行中ですが、ゼロ金利の日欧にこれ以上の緩和(=投機マネーの増大)の余地は少ないです。中国は何でもアリなのでアレですが。
逆にアメリカは利上げ(=金融引き締め=投機マネーの減少)です。「やっぱ止めた」などと手の平を返さない限り、投機筋による振れは小さくなります。
日本の一般消費者としては、ガソリン代が安いだけでも幸せかもしれません。
原油先物100ドルなんて、いくら働いてもザルに水を汲むみたいな時代は向こう数年は来ないと予想します。
投機筋にあまり搾取されずに日本国民が頑張って働けば報われる時代は、再び来ると信じています。
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