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2015年8月12日 (水)

人民元切り下げ、時代は回るか?

中国が突然人民元を2日にわたって切り下げました。その心はずばり、製造業への回帰ですが、うまく行くでしょうか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150812-00000023-jij-cn

 【上海時事】中国人民銀行(中央銀行)は12日、人民元取引の目安となる対ドル基準値を前日比1.6%引き下げた。
 2日連続の元切り下げで、景気鈍化に対応した元安誘導への中国の姿勢が一層鮮明になった。人民元の上昇を求めていた米国などが、一方的な切り下げに批判を強める可能性もありそうだ。
 人民銀は12日の基準値を1ドル=6.3306元に設定した。前日の取引の終値(6.3231元)に比べても元安・ドル高。11日には算出方法を変更したとして、基準値を1.9%引き下げていた。
 この日の上海外国為替市場は、基準値の引き下げを受けて、6.4300元と急落して始まった。これは2011年8月以来、約4年ぶりの元安水準。

中国の躍進は、製造業から始まりました。近代国家の発展は、大体そうです。
しかし限界があります。
企業が儲ければ労働者がその分配を要求します。輸出が多ければ通貨が上がり、国際競争力は低下します。
中国はそれらを最大限抑制してきましたが、結局賃上げし、製造業は東南アジアに流れ、アメリカの圧力で徐々に通貨高も受け入れてきました。

次の成長エンジンは不動産投資でした。これもどこかで見た風景です。
しかし一昨年、シャドーバンキング問題が表面化しました。中国各地に鬼城(ゴーストタウン)が発生して社会問題化しました。

そして個人投資家です。極めて既視感が強いです。
去年末から信用取引を認可して個人投資家による株式投資を奨励しました。
それに乗って含み益を出したプチ成金が日本や香港で爆買いして有名になりましたが、6月の株価下落で頓挫しました。
中国当局はそれに対して、利下げや空売り業者の摘発や年金基金の株式投資注入や報道規制などで対処してきました。

そして今回、人民元切り下げです。
通貨安の目的は、製造業の復活です。
しかしたかだか数%の人民元安が、前述の必然的ハンデを乗り越えて製造業を復活出来るでしょうか。

むしろ、本件で犠牲にした国際的信用の方が大きいのではないかと考えます。
外国人投資家にとっては、ある日突然中国における資産価値が下がるのです。
それを政府の恣意により突然行うのはいかがなものかということで、国際的信用を失うのです。

確かに世界では、金融緩和や為替介入といった通貨安政策は行われてきました。
しかし前者は月単位で実施して1年以上という形で緩やかに行われるものだし、後者は後に反対売買が行われます。
通貨切り下げは、これらのコストを支払わない身勝手な行為で、仮にも基軸通貨を標榜する国家・通貨の行いではありません。

実際、上海総合はこの2日間で少し下げています。製造業回復の期待を国際的信用低下が相殺した形です。
むしろその影響は、アジア各国に波及しています。日経平均はもとより、アジア各国の株式市場は下落しています。
中国がなりふり構わない自国保護政策を採ったために東南アジアに嵐が吹き荒れれば、1997年のアジア通貨危機再来の恐れがあります。
そんなことが起こっても、中国は責任を感じずに、むしろAIIB(アジアインフラ投資銀行)の出番だと嬉々として事態を利用するでしょう。

日本国としては、それによって破綻した国々をADB(アジア開発銀行)やJICA(国際協力機構)などを通じて救済し、日本の影響力を高めていきたいところです。
そんなことが起こらないに越したことはないのですが。

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