新国立競技場、誰が悪役になる?
安保法制から一転、新国立競技場問題です。今の責任者は安倍首相ですが、ちょっとした歴史があり、彼一人を叩くのは不公平というものです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150718-00000062-san-pol
「2019年ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会には間に合いませんが、お許しいただきたい」
安倍晋三首相は17日午後、首相官邸5階の執務室で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相にこう頭を下げた。
安倍首相の思惑が、安保法制で下がった政権支持率回復にあるというのは頷ける話です。
しかし、総工費2500億円、いやそれ以上とも言われる新国立競技場は、何時かは手を付けなくてはいけない問題でした。
安倍首相がコントロール出来るのは、そのタイミングだけです。
記事は産経新聞なので、安倍首相をプロジェクトXみたいに格好良いリーダーに仕立て上げた部分は差し引かなくてはなりませんが、要するに根回しが必要だったわけです。
最重要の大物が森元総理で、彼の面子を潰さないで同意を得るために文科省・国交省・五輪省と事前に相談していました。
自分が新国立競技場の変更を確信したのは、安藤忠雄氏の会見でした。
デザインは選定したけど、2500億円も掛かるなんて知らなかった。
という内容です。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150717-00000002-jct-soci
彼の目が泳いでいた印象です。
それでも一応、責任逃れは出来たようです。
そして誰の所為になるか。
ザハ・ハディド氏です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%8F%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89
彼女は、「脱構築主義」の代表的建築家だそうです。
簡単に言えば、デザイン重視で建築が現実的でない、ということです。
曲線を使いすぎて強度やコストに無理が生じるのです。
彼女は、「アンビルト(unbuilt)の女王」とも呼ばれています。
好意的に言い添えれば、時代を先取りしすぎたとも言えます。
本件では他にも野田政権や文科省、スポーツ振興センターなどが関わっていますが、遠い国のザハ・ハディド氏に全てを擦り付け、100億円とも言われる違約金で口止めする、というのが日本国のシナリオとして無難ではないかと考えます。
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コメント
こんにちは。
誰が悪役かどうかは置いておいて、建築に携わる者としてこの案件については言いたいことは有ります。
現在、東京の建設コストが高騰しているのは事実です。
全国的に言えることですが、一時期の建設不況で、単価が安くなって収入が減り、重労働のリスクに対する高収入という魅力が無くなった為に、建設業から人離れが進み、技術の継承もできず、良い職方を押さえるには大変なコストがかかるようになっています。 今後はさらに上昇することでしょう。
また、記事本文に書かれてらっしゃるように、曲面を多用したデザインを現実化するには通常の何割ものコストがかかりますし、品質上の不具合の発生確率も上がります。
建築物は、なんでも言えますが、『シンプルイズベスト』です。 シンプルなものは建てやすく、ミスも少なく、メンテナンスにもお金がかかりません。 本当に優秀な建築家というならば、顧客の要望に応じた、その意匠、機能、初期建設コスト、メンテナンス性のバランスの取れた設計をするべきです。
安藤忠雄が好むコンクリート打ちっ放しなんて、最もコストがかかり、かつ機能的では無く、メンテナンス性も悪い最悪のデザインと言えるでしょう。
ザハ氏にしても、すでに13億円も支払い済みとか。
その13億円の内訳明細書を見せて欲しいものです。 13億円も有れば、いったいどれだけ国内に雇用を産めることか…
それに、外国の人間にデザインさせる意味が解りません。
言ってはなんですが、たかがデザインに、それ程の価値が有るとは思えません。 無理なデザインを現実に造る我々建設現場に携わる者の苦労は、彼らデザイナーには絶対に解らないのがまた歯痒いです。 そして、瑕疵が有っても、設計屋は責任を取らず、施工屋に押し付けます。
はっきり言って、デザインばかりを重視した設計は、設計屋の自己満足です。
自己満足は一人でやっていただき、他者に迷惑をかけて欲しく無いです。
森元首相は、『2500億くらい』と言ったそうですが、それならポケットマネーで出して欲しいものです。
安藤忠雄も、ザハ氏も、偉そうに、『建築家』なんて言って欲しく無いです。
すいません。
熱くなってしまい、長々と書いてしまいましたm(__)m
投稿: ちゃんちゃん | 2015年7月19日 (日) 15時40分
いや熱いですね。
本当にありがとうございます。
勉強になりました。
『シンプルイズベスト』、至言ですね。シンプルに真理を突いているという点からも。
建築家でも設計者でもなく、なんでデザイナーに価値があるのか、なんで13億円も貰えるようになったのか、そのカラクリというかきっかけに興味があります。
投稿: プー | 2015年7月19日 (日) 18時59分