アジアインフラ投資銀行は見送りの一択
いまさら、アジアインフラ投資銀行への参加が取り沙汰されていますが、まさに敵に塩を送る行為です。日本国は不参加しかありません。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150407-00000135-jij-pol
岸田文雄外相は7日の参院外交防衛委員会で、中国が主導して年内設立を目指しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)に関して「日本が参加を表明することになれば、推計で1000億円単位の出資を求められることになる」と述べた。日本が参加した場合の出資額について、政府が具体的な試算を明らかにしたのは初めて。
ただ、岸田外相は、投融資案件を審査・承認する理事会の体制など、AIIBの組織運営に不透明な点が残ることを改めて指摘。「ガバナンスの問題点を中国側にぶつけているが、しっかりとした回答がない。確認した上で対応を決断する」と語り、参加の是非は慎重に判断するとの姿勢を強調した。福山哲郎氏(民主)への答弁。
AIIB、山ほど問題がありますが、まずは記事にある、ガバナンスの問題です。
どう考えても中国が恣意的に運用するに決まっています。
競合すると思われる国際開発金融機関に、アジア開発銀行(ADB)があります。資本総計は1650億ドルです。
厳しい審査と日米の信用力による低利の融資で、アジアの発展に貢献してきました。
日本とアメリカが出資比率の最上位を占め、各15.65%です。以下、5%前後で中国・インド・オーストラリア・カナダ・インドネシア・韓国・ドイツと並びます。歴代総裁は全て日本人なので、日本が最有力ですが、出資比率に応じた議決権なので露骨な我田引水は不可能です。
AIIBでは、総資本推定が1000億ドルで中国の出資比率が半分弱、韓国を含めて常に過半数を維持します。
日本はGDPに応じて15%くらい出資することになるでしょうが、その意思は殆ど通りません。
むしろ、ADBに競合する案件に積極的に融資するようになります。
AIIBが実際に発足したらどうなるか。
インフラ整備は投資と経済発展に貢献しますが、中国も自称発展途上国なので、中国国内の投資に使われます。共産党指導部の意の向くところ、審査は甘々となり、次々と事業が発足します。
受注する企業の決定には公正な入札が導入されると思われますが、コスト面で日本企業は絶対に勝てません。
中国や韓国が受注し、手抜き工事を行います。中国の竹筋コンクリートや、韓国のスポーツジムのエアロビで倒壊したビルは有名です。自国内でその有様です。外国での所業など火を見るより明らかです。
東南アジアでは新幹線を導入します。日本企業の受注を妨げ、作った新幹線は中国高速鉄道やKTXの実績をから推測が容易です。
結局、乱立した建造物はすぐに無価値となり、借金と瓦礫が残り、経済発展にはむしろ大きなマイナスとなります。
そんな案件が増えればAIIBの財務は将来必ず悪化し、いよいよ行き詰まった時点で日本に増資を要求し、幹部が持ち逃げして解散です。
その瞬間に世界恐慌が発生します。
そんなモノに対して日本は出資などで頑張っても負債規模を増やすばかりで防ぐことは出来ません。
日本の採るべき戦略は不参加。出来れば裏で妨害することです。
日本にしっかりした情報機関があれば、と悔しいですが、いずれにしてもAIIBは上手く行かないことを前提に対策を練っていく必要があります。
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