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2015年3月 5日 (木)

群馬県の肝切除が崩壊するだけでなく・・・

群馬大学医学部附属病院において肝切除後に死亡例が多発したことについて、確かに言い訳の出来ない事件ですが、記事だけが全てだとは思わないで下さい。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150304-00000010-mocosuku-hlth

群馬県前橋市の群馬大学病院で、2009年以降の5年間、肝臓の腹腔鏡(ふくくうきょう)手術を受けた患者8人が、術後4か月以内に相次いで死亡していた、というニュースが報じられました。同院では、開腹手術でも、同じ執刀医で10人死亡の事実があるということなので、個人の技術的な問題も指摘されています。

本件は、患者・家族への説明が不足していたとか病院の倫理委員会に諮らなかったなどの不備が噴出し、擁護できない問題となっています。

しかし一方、地方の特定機能病院としての宿命があることを理解して下さい。

今時はNCD(症例データベース)があり、病院毎の手術成績は素人でも知ることが出来ます。肝切除の死亡率は全国平均で2%、群大病院はその3-4倍と確かに高いです。実績作りのために適応を広げて手術した、という話もあります。

しかし、統計のカラクリ、という部分もあります。

ある病院が手術の成績を上げようと思ったら、方法は簡単です。年齢・体力・進行度などの観点から、危なそうだと思った患者さんには手術をしなければ良いのです。患者さんが不満ならセカンドオピニオンを紹介します。大抵、その間に手遅れとなり、「やっぱり無理だと言ったでしょ」となります。

そうやって手術成績が良くなれば医者も患者も集まって、更に実績を上げてゆく、という好循環が生じます。

その部分だけ見ればメデタシメデタシですが。

見捨てられた患者さんはどうするのか。

或いは地方の患者さんは、わざわざ都会まで出て行かなくてはならないのか。

酷い医療格差を生じているわけです。

地方には、多少成績が悪くても手術をやってくれる地元の病院が必要です。

群大病院で8%亡くなっていると言っても、逆に言えば9割は助かっているのです。

ごく一部の富裕層を除いて、5%程度の確実性のために都会に出て諸々の高いコストを払って手術を受けることなど出来ません。

一方、手術しなければ可能性はゼロです。

勝負をかけなければいけないし、患者さんからそう頼まれれば医者もやらなければ、と思うものです。

本件の失敗は、リスクが高いならば尚更、事前事後の説明をしっかり行うべきだったし、病院の倫理委員会を通しておかなければならなかったことです。

死ぬかもしれない、などと書面に残すのは野暮ですが、それを怠ればこのように致命傷を負うことになります。

「リスクが高いことは分かっていますね?」「はい」といった口頭でのやり取りは、人権派弁護士にかかれば「そんなことは聞いていない」「大丈夫だと言われた」、と言う形に容易に覆されます。

件の外科医が100%悪かったかと言えば、色々な人々の思惑が絡んでいるので否と答えます。しかし、脇が甘かったのは間違いありません。

そしてその影響も甚大です。

群大病院は、肝切除は行えなくなり、今までギリギリ適応として手術が行えていた患者さんは死を待つのみとなります。

また、特定機能病院を5年間取り消され、財務は大幅に悪化し、名声は失墜し、研修医も来なくなり、医療全般の機能低下が群馬県全体に波及します。

その外科医も、診療を続けるとしても離島でしか働けないでしょう。

逆にこの事件で幸せになった人がいるのか?

その観点からは、もう少し穏便な形で済ませることは出来なかったのか? と思います。

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心と体」カテゴリの記事

コメント

これは医師の虚栄心と自信過剰以外の何者でもない、と思うのは私だけでしょうか。

従来の手術より腹腔鏡手術は難しいし、またそれだけのキャリアを積んだ上でなければ出来ないでしょう。

同じ執刀医で何人もの患者が亡くなっているのに同様の手術をさせていたのですから、ある意味で殺人でしょう。

腹腔鏡手術以外の手術方法がなければ別ですが、私にはそうは思えないのです。
普通の開腹手術で行なえなかったのでしょうか?

投稿: みやとん | 2015年3月 6日 (金) 13時24分

なるほど、マスコミの報道だけで誤解していました。よく分かりました。
「人権派弁護士」は胡散臭いですね。

投稿: ゆ~ | 2015年3月 6日 (金) 22時24分

コメントありがとうございます。

外科医が実績と練習のために腹腔鏡手術をしたがっていた、というのは間違いないですが、開腹手術でも同じように亡くなっているので、それと比較して腹腔鏡だから殺人、とまでは言えません。

それよりも、何故そのような医師が出来てしまったのかです。

本文の通り、地方大学病院には殆どの医療を自前で賄う使命があります。先進医療については、癌研有明のような一流病院に医局員を修行に出します。
数年して帰ってくると、その医師は群大病院ではオンリーワンです。医局も病院も患者さんも、その手術については口出しが出来ません。そうやって件の医師が出来上がるのです。

そして、それが5年間18人の死者を出すまで明るみに出なかったことにも理由があります。
この医師は、確かに死亡率は高かったけれども、一方で多くの患者さんを救ってもきたのです。病院の使命や患者さんのニーズといった支えによって、必要悪として続いてきたのです。藪医者でも、手術を受けられないよりはマシなのですから。

彼が去った後の群大病院なんて、日帝支配を逃れた朝鮮半島みたいなものです。
そう考えれば、古今東西ありがちな構図なのです。

それから、世界史を見れば、こう言うときには別の誰かの利害が絡んでいたりするものです。詳しくは言えませんが、自分にも少しは情報が入っています。

投稿: プー | 2015年3月 6日 (金) 22時39分

ゆ~さん。
コメントありがとうございます。

医師の立場はなかなか理解されませんが、「人権派弁護士」は医師の天敵です。
こんなものの影に怯えて、患者さんにとって本当にためになる医療が行えないのは残念なことです。

投稿: プー | 2015年3月 6日 (金) 22時42分

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