« 処刑に処刑の報復では | トップページ | 原油相場とロシアの態度は相関関係 »

2015年2月 6日 (金)

ヨルダンが空爆。テロの根絶にはもう一ピース

ヨルダン軍がISILに空爆。強気に出なければならない事情があるようですが、これだけではテロは根絶しません。日本の民生支援も必要です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150206-00000029-mai-int

【アンマン田中龍士】イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)がヨルダン軍パイロットを殺害したことへの報復として、ヨルダン軍は5日、ISの拠点に大規模空爆を実施した。軍は空爆後、「序章に過ぎない。このテロ集団を壊滅させる」との声明を発表した。米国などと連携して空爆を拡大させるとみられ、報復の連鎖が広がっている。

ヨルダン政府とアブドラ国王が怒っています。

自国のエリートパイロットを殺された怒りが主体です。

或いは、とっくに殺されていたのに交渉しようというISILに腹が立ったというのもあります。

さらにもう一つ、強気をアピールしなければならない事情もあるようです。

アブドラ国王は4日、「われわれの信仰、価値観、原則を守るため容赦ない攻撃を行う」と空爆強化を宣言。5日には、弔問のためカラクを訪れ、中尉の父サフィさんら遺族と上空を飛ぶ戦闘機の帰還を見守ったという。怒りに沸騰する地元民らの不満を和らげるため、報復をアピールしたとみられる。

要するに、国内のISIL工作員に対する締め付けです。

殺された中尉の父サフィさんは、息子が殺されると分かる前の段階では解放交渉が進まない不満を政府にぶつけていました。父親という立場では仕方の無いことかも知れませんが、ISILの手が回ったと自分は考えます。

「政府を批判しろ。さもないと息子を殺す。」

同様のことが日本でも後藤さんの母親から起こったので、個人的には確信に近いです。

しかし蓋を開けてみたら息子達はとっくに殺されているのが、ISILが卑怯なのかお粗末なのか判断の難しいところです。

ともあれ、わざわざ国王がその父親と同席して空爆を見守りました。

表向きには、「君たちには我々がついている」と力強く宣言しながら、言外には「我々が見張っている。ISILと内通など許さないぞ」という意志を込めているわけです。

そして、その意志の強さを内外にアピールするための大規模な空爆作戦なのです。

憎悪の連鎖はいけない、とは我々日本人は考えますが、彼等には、舐められてはいけない、という信念があるようです。

ISILは脱走者を大量殺害しましたが、裏切り者を許さない、という姿勢は古今東西多くの組織で行われていることです。

裏切り者には死を。という方針は、裏切りに対する抑止力です。

ヨルダンは国家なのでISILよりは寛容ですが、「二度目は無いよ」というわけです。

その代わり、しっかり守ってあげるよ、というアピールもしておきました。

さて、ヨルダン軍は、テロを壊滅させると声明を発表しました。

しかし実際に空爆だけでテロを壊滅させるのは不可能です。

政府に逆らったら殺される、とISIL兵士に思わせることが目的だと思いますが、かと言って投降したら逆にISILに殺される、と、末端兵士は生きた心地がしないでしょう。

そういう立場の人々をヨルダンに復帰させるのは難しい、というか、戦略目標には出来ません。内ゲバが起こってくれたら儲けもの程度に考えておきます。

むしろ、新たにISILに参加する若者を減らしてゆく形でテロ根絶を果たしてゆくのが現実解でしょう。

軍事的には、前述のようにISILに参加したら命がない、と思わせること。

そしてテロ対策の両輪のもう一方は、民生支援です。若者がISILに参加などしなくても生活できるように仕事を与えること。今まで何度か書いているので詳細は避けますが、日本の出番です。

長い取り組みになりそうです。安倍首相の腸がもつのか心配です。

Banner_13よろしかったら応援クリックお願いします。

|

« 処刑に処刑の報復では | トップページ | 原油相場とロシアの態度は相関関係 »

政治」カテゴリの記事

コメント

イスラム国を壊滅させるためには、どうしても地上戦が必要です。
あえてISILとは言いません。壊滅させても分派は残ると考えられますので。
さらに壊滅させた後も駐留軍が必要となります。

この駐留軍は地元の有力勢力と協力できるものでなければ第二第三のISを生み出します。

その為、クルド人の独立国家(または完全な自治区)とするより他に方法はないと思います。

まあ、わかっていても欧米諸国からは言いださない、いや言いだせないでしょう。何といっても国境線を引いたのは彼等ですからね。
日本しかクルド人の独立国家を設立するべきだとは主張できないでしょう。

オバマ大統領は空爆だけでなく地上戦もと言いだしていますが、まず口先だけでしょう。

本気で取り組むつもりなら『クルド人国家を容認する』のが日本として最善じゃないでしょうか。

またISILの新規兵士の募集にとって最大の邪魔ものはクルド人の女性兵士と日本のクソコラでしょう。女に負ける(殺される)のはイスラム国の参加者にとって最大の屈辱らしいですし、日本のクソコラでバカにされたのは計算違いのようでしたからね。

結論は、『クルド人を取り込む事が今回のイスラム国騒ぎの鍵となる』と考えています。
安倍総理がクルド人国家を作るべきだと主張しても今なら大丈夫ではないでしょうか。

投稿: みやとん | 2015年2月 7日 (土) 13時59分

コメントありがとうございます。

まとめサイトを見たら、
>ISISの戦闘員らは「もし、女性兵士に殺害されたら、天国に行けない」と信じている
自分には理解しがたいですが、馬がラクダを恐れるみたいな妙な相性があるのですね。

彼女らのお陰でクルド人国家が成立したら、トルコのような世俗主義の国が出来ますね。
安倍総理に頑張って欲しいです。

投稿: プー | 2015年2月 7日 (土) 22時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/420968/58839258

この記事へのトラックバック一覧です: ヨルダンが空爆。テロの根絶にはもう一ピース:

« 処刑に処刑の報復では | トップページ | 原油相場とロシアの態度は相関関係 »