川内原発再稼働~原発廃止にも人材が要る
川内原発再稼働に知事が同意しました。自分は、原発に色々問題があり、廃止したいのはやまやまですが、原発を安全に廃止するために、当面いくつかの原発の再稼働は必要と考えます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141108-00000004-mai-sctch
原子力規制委員会の審査が終わっていない中、伊藤祐一郎鹿児島県知事が7日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機の再稼働に同意した。知事が手続きを急いだ背景には、立地自治体以外に再稼働判断への関与を求める声の広がりや、来春の統一選への影響を懸念した思惑が透けて見える。
日本の電力事情は好転しています。
火力発電では、原油先物が80ドルを割り、天然ガスも調達先を多角化しているところです。円安が問題ですが、行きすぎた相場は戻るのが常です。
太陽光発電はコストと送電網への負担から見直しの動きが始まりました。
そういう観点からは、原発再稼働は不要になってきました。
しかし原発の廃炉が容易ではありません。
事故を起こした福島第一の廃炉に全く目処が立たないのはもちろん、無事に運転を終了した東海発電所ですら20年以上掛かる見通しです。
そんなことになるなら最初から作らなければ良かった、と今なら言うでしょうが、既にあるものには、現実として対応していかなければなりません。
大事なのは人材です。
この先何十年も掛かる廃炉作業は、高度な技術者集団なしには完成しません。
リンクが切れてしまいましたが、去年、東電が3年ぶりに新卒採用に踏み切ったというニュースがありました。それでも300人余り、事故前の千人より大幅に少ないです。
原発事故以来新卒採用が途絶え、一方で千人を超える依願退職者が出ていました。
そんな状態が続いたら、福島第一の廃炉は到底達成出来ず、そればかりか人手不足で再び大事故が起こるでしょう。使用済み核燃料が当面の課題です。
その新卒の若者の立場で考えてみると良いです。
原発は終わった産業だ、と思えば、誰もなり手が居ません。そうなれば本当に終わってしまうのですが、その結末は、いわゆる「終了」ではなくて「破滅」です。
嘘でも良いから、原発は終わっていない、と思わせなくてはなりません。
彼等が定年を迎える頃まで仕事がある、と約束して初めて優秀な人材が集まるのです。
そのためには、一部の原発を再稼働したり海外に輸出して、仕事を続けなければなりません。
廃炉作業だけのために国がお金を出す、というやり方では、若者は夢を持てないし、仕事が終わればクビではモチベーションが上がりません。
苦渋の選択ではありますが、一旦始めてしまったものは投げ出すわけにはいかないのです。
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