原油下落。国際情勢と投機筋
原油の下落が激しいです。我々日本国民には嬉しいことですが、なぜ起こったのか、あるいは今後も下がるのか。考えてみました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141129-00000024-jij-int
原油価格が下げ止まらない中、石油輸出国機構(OPEC)は27日の総会で生産目標を現行の日量3000万バレルに据え置いた。OPECは本来、価格の安定維持を目指し生産を調整する産油国カルテルのはず。しかし、増産が続く北米産のシェールオイルという強力なライバルが台頭する中、OPEC単独での減産もままならず、産油国は安値にどこまで耐えられるかを競い合う「価格戦争」への突入を余儀なくされた。価格が1バレル=100ドルを上回っていた、産油国にとって心地の良い時代は終わり、「石油市場の歴史で新たな章が始まった」(国際エネルギー機関=IEA)との見方も浮上する。
昨今の国際情勢は色々ありますが、確かに原油値下げの要因が多いです。
中国の景気後退とアメリカの金融緩和終了が大きいですが。
他にも、ウクライナ問題以来の米露の対立、OPEC内の不和があります。
これらは、強い国が一時的に価格競争を仕掛けて弱い国をふるい落とす結果となります。
アメリカがロシアを、サウジがベネズエラを蹴落とせば、ライバルが減るので後で価格を上げて儲けることが出来ます。
しかしそれでも、原油価格は歴史的に大きく振れています。リーマンショックの前後では実に4倍です。
原油および石油製品は人々の生活の必需品です。基本的には需要と供給はバランスが取れており、何らかの理由で値上がりすれば消費側の節約と生産側の増産で再び均衡するはずです。
それなのにこれほど大きく変動するのは、「投機筋」のためです。
彼等は原油その他の先物の売買で儲ける人々です。
安いうちに買い値上がり後に売る。高いうちに売り下がりきったところで買い戻す。
そういう仕事ですが、新しい情報を持っていれば、あるいは、情報公開のタイミングを握っていれば、更に儲けることが出来ます。
相場の上がるニュースがあれば、公開前に買っておく。高値で売った後は空売りし、下げ要因のニュースを畳み掛けて暴落したところを買い戻す。そんなことが可能です。
今は、暴落の真っ最中なのでしょう。
では、今後何処まで下がるのか。
中途半端レベルでの買いは、更に下がると恐怖で手放してしまい、かえって下落を加速させます。
相場の終わりは、「この相場はおかしいんでないの?」と多くの参加者が思った時です。
相場が下落して多くの人がお得だなと思えば買い専門の注文が多くなり、売り浴びせが効かなくなります。
相場のチャートを見て、過去のいくつかの底値を直線で結んだところが「抵抗線」と呼ばれ、底値の候補です。これが強い下げ圧力によって破られることもあるわけですが。
ここ2・3年では、水色の線が抵抗線でした。しかし今回、90ドル台の水準をあっけなく割り込みました。
もっと長期的な抵抗線は2000年以前から引いた紫の線になります。現状では60ドルくらいでしょうか。ここでの買いが支えれば反発しますが、これも破られるとリーマンショック時の30ドル台や、その時の下落割合基準の20ドル台まで考えられます。
しかし、紫線の下は、所詮投機による売りです。実需としては、中国が衰えたと言っても13億の人は暮らして消費しており、シェール革命は原油下落が進むと採算割れして頓挫します。
リーマンショック後の暴落が短期間だったように、近い将来に暴落があったとしても同様に短期間のはずです。
ガソリン代は依然高いです。もっと下がってほしいと思ったらどうしたら良いか。
燃料代が安くなるのは日本国の国益です。そのためには、自前でエネルギーを調達するのが王道です。実際の貢献分以上に、輸入相手に対して強く出られるので安くすることが出来ます。
今年になって日本やアメリカの核融合開発中のニュースが出てきました。10年以上先のニュースでも先物には影響するものです。
メタンハイドレート開発は、それ自体は採掘コストが高すぎてペイしないようですが、いざというときはこちらで賄う、というのは交渉カードとして役立ちます。
原発再稼働は亀の歩みですが、意外と投機筋の売り時とリンクしているのかもしれません。
我々に出来ることとしては、震災時に言われた「節電」が地道に大事なのだと思います。
因みに、「売電」には反対です。
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