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2014年11月

2014年11月29日 (土)

原油下落。国際情勢と投機筋

原油の下落が激しいです。我々日本国民には嬉しいことですが、なぜ起こったのか、あるいは今後も下がるのか。考えてみました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141129-00000024-jij-int

原油価格が下げ止まらない中、石油輸出国機構(OPEC)は27日の総会で生産目標を現行の日量3000万バレルに据え置いた。OPECは本来、価格の安定維持を目指し生産を調整する産油国カルテルのはず。しかし、増産が続く北米産のシェールオイルという強力なライバルが台頭する中、OPEC単独での減産もままならず、産油国は安値にどこまで耐えられるかを競い合う「価格戦争」への突入を余儀なくされた。価格が1バレル=100ドルを上回っていた、産油国にとって心地の良い時代は終わり、「石油市場の歴史で新たな章が始まった」(国際エネルギー機関=IEA)との見方も浮上する。

昨今の国際情勢は色々ありますが、確かに原油値下げの要因が多いです。

中国の景気後退とアメリカの金融緩和終了が大きいですが。

他にも、ウクライナ問題以来の米露の対立、OPEC内の不和があります。

これらは、強い国が一時的に価格競争を仕掛けて弱い国をふるい落とす結果となります。

アメリカがロシアを、サウジがベネズエラを蹴落とせば、ライバルが減るので後で価格を上げて儲けることが出来ます。

しかしそれでも、原油価格は歴史的に大きく振れています。リーマンショックの前後では実に4倍です。

原油および石油製品は人々の生活の必需品です。基本的には需要と供給はバランスが取れており、何らかの理由で値上がりすれば消費側の節約と生産側の増産で再び均衡するはずです。

それなのにこれほど大きく変動するのは、「投機筋」のためです。

彼等は原油その他の先物の売買で儲ける人々です。

安いうちに買い値上がり後に売る。高いうちに売り下がりきったところで買い戻す。

そういう仕事ですが、新しい情報を持っていれば、あるいは、情報公開のタイミングを握っていれば、更に儲けることが出来ます。

相場の上がるニュースがあれば、公開前に買っておく。高値で売った後は空売りし、下げ要因のニュースを畳み掛けて暴落したところを買い戻す。そんなことが可能です。

今は、暴落の真っ最中なのでしょう。

では、今後何処まで下がるのか。

中途半端レベルでの買いは、更に下がると恐怖で手放してしまい、かえって下落を加速させます。

相場の終わりは、「この相場はおかしいんでないの?」と多くの参加者が思った時です。

相場が下落して多くの人がお得だなと思えば買い専門の注文が多くなり、売り浴びせが効かなくなります。

相場のチャートを見て、過去のいくつかの底値を直線で結んだところが「抵抗線」と呼ばれ、底値の候補です。これが強い下げ圧力によって破られることもあるわけですが。

http://chartpark.com/wti.html

Wti

ここ2・3年では、水色の線が抵抗線でした。しかし今回、90ドル台の水準をあっけなく割り込みました。

もっと長期的な抵抗線は2000年以前から引いた紫の線になります。現状では60ドルくらいでしょうか。ここでの買いが支えれば反発しますが、これも破られるとリーマンショック時の30ドル台や、その時の下落割合基準の20ドル台まで考えられます。

しかし、紫線の下は、所詮投機による売りです。実需としては、中国が衰えたと言っても13億の人は暮らして消費しており、シェール革命は原油下落が進むと採算割れして頓挫します。

リーマンショック後の暴落が短期間だったように、近い将来に暴落があったとしても同様に短期間のはずです。

ガソリン代は依然高いです。もっと下がってほしいと思ったらどうしたら良いか。

燃料代が安くなるのは日本国の国益です。そのためには、自前でエネルギーを調達するのが王道です。実際の貢献分以上に、輸入相手に対して強く出られるので安くすることが出来ます。

今年になって日本やアメリカの核融合開発中のニュースが出てきました。10年以上先のニュースでも先物には影響するものです。

メタンハイドレート開発は、それ自体は採掘コストが高すぎてペイしないようですが、いざというときはこちらで賄う、というのは交渉カードとして役立ちます。

原発再稼働は亀の歩みですが、意外と投機筋の売り時とリンクしているのかもしれません。

我々に出来ることとしては、震災時に言われた「節電」が地道に大事なのだと思います。

因みに、「売電」には反対です。

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2014年11月22日 (土)

解散総選挙~アベノミクスは失敗していない

アベノミクスは成功したのかどうか。いくつかの指標は明らかに良いです。庶民感覚としては実感が無いですが、今は待つべき時だと考えます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141121-00000109-mai-pol

安倍晋三首相は21日の記者会見で今回の解散を「アベノミクス解散」と名付け、衆院選では経済政策を中心に与党への支持を訴える姿勢を鮮明にした。しかし、特定秘密保護法制定や集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更など、第2次安倍内閣が打ち出した安全保障政策を巡っては世論の賛否が分かれている。女性活躍推進法案は解散のあおりで廃案になった。民主党など野党は幅広く争点を設定し、与党に論戦を挑む構えだ。

最近の経済指標では消費税増税以降のGDPが2期連続でマイナスと発表され、アベノミクスは失敗だと大騒ぎになっています。

だが少し待ってほしい。

消費税増税で経済にブレーキが掛かるのは当たり前です。

その消費税増税ですが、財務省の意向が大きいです。時の政権は、財務省に逆らっては生きて行けません。逆に、財務省の悪口を言える政治家は政権に携わらない無責任な人達だけです。

財務省は巨悪だと思いますが、しかしそれは日本国そのものであり、これを打倒することは日本国民たる自身を滅ぼすことと同義なので、日本国民には不可能なことと考えます。

ではアベノミクスそのものは失敗だったのか。

ポジティブな重要指標もあります。

大企業の決算はトヨタの2兆円黒字を筆頭に軒並み上向きです。

日経平均は民主党政権の時から倍増、ドルベースにしても日本企業の価値は上がっています。

そして雇用統計です。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm

a-1の主要項目を見てもらうと良いです。

「就業者」は、民主党政権からはもちろん、消費税増税前と比較しても増えています。

生活保護受給者の増大を誇っていた民主党が無能と罵られるのは当然です。

景気回復は雇用ありきです。

失業率が下がれば労働市場は労働者の有利に傾きます。そうすれば企業側は賃金を上げたり労働環境を改善する必要に迫られます。

共産党はブラック企業撲滅を叫んでいますが、ブラック企業を規制してはこれが倒産し、別の企業がブラック化するだけです。失業率が上がればもっと酷いことになります。

実際には、アベノミクスにより労働者が売り手市場となり、その結果現にすき家のワンオペが問題になり解消される、という効果が現れています。安倍政権はブラック規制などしていないのに、です。

多くの人に景気回復が実感できるのは、もっと先です。

というか、もう後戻りは出来ません。金融緩和を止めたら一気に景気は悪化します。

今の経済はインフレか、デフレか、いやスタグフレーションだ、と喧しいです。

アベノミクスや黒田バズーカによる円安で輸入価格が増大しているので国民の生活が苦しい、というのは間違っていません。

しかし、アメリカが金融緩和を止めたので先物相場は下がっています。おっと、中国はまた金融緩和するようですが

燃料に関しては相場の下落に加え、安倍外交でカナダやメキシコなどからの天然ガス輸入を取り付け、それは従来の輸入相手への値下げ圧力となってゆきます。

副作用の多い金融緩和は功罪相半ばしますが、この点は単純に評価出来ます。

そんなわけで、乗った船から途中で下りて溺れるような愚は犯したくないと思っています。

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2014年11月14日 (金)

解散か? ~政治は大義ではなく損得勘定で動く

大義の無い解散と言われていますが、大義なんてマスコミが応援したいかどうかでしかありません。政治家には自分のこと「だけ」考える者と自分のこと「も」考える者しかいないことを知るべきです。なぜなら、自分のことを考えない者は弱肉強食の世界で生きていけないからです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141114-00000044-mai-pol

与野党は14日、安倍晋三首相が来週に衆院解散・総選挙に踏み切ることを踏まえ、選挙準備を加速させた。首相は17日の帰国後、早ければ19日にも解散に踏み切る意向だ。アベノミクスや社会保障が焦点となる選挙戦をにらみ、与野党は早くも舌戦を交わした。

テーマは消費税のようですが。

来月に消費税を予定通り2015年10月に8から10%へ増税するかどうかを判断することになっていましたが、目下の景気は悪化しており、増税の実行を2017年4月に先送りするのではないかと言われています。

景気悪化の原因について、安倍政権を支持する人は海外の景気悪化を挙げ、不支持の人はアベノミクスの失敗を指摘します。どちらも正しいかもしれません。

いずれにしても、消費税増税を延期するのが現在の民意のようです。

ではなぜ、増税を2017年にまで延期するのか。

経済的な要因としては、欧州・中国の景気後退、アメリカの利上げがあります。利上げは金融の引き締め、投資の回収ですから、アメリカの利上げは全世界の金回りを悪くします。来年はそれらと同時に消費税増税を行ったら大きな経済的ショックが起こるだろう、と予想されます。

一方で、政権は財務省などに嫌われたらスキャンダルをリークされて倒れてしまいます。消費税の件では、延期は出来ても取り消すわけにはいかないのです。

選挙の日程では、来年春に統一地方選挙、再来年には参議院選挙、衆議院で解散がなければ総選挙も行われます。それらの前に増税(あるいはその決定)をすると支持率が下がり、政権が運営できなくなります。

動かせない日程は統一地方選挙と参院選、逆に動かせるのは増税と総選挙。安倍政権としては動かせる方を上手く動かして政権を安定させたいです。

結局その解が、消費税増税延期・衆議院解散なのです。基本的発想は、選挙の後に増税です。あくまで安倍政権の立場で考えたら、ですが。

それを財務省に対してどう説得するかですが。

「支持率が下がってまた政権交代が起こったら、消費税増税が反故にされてしまいますよ。そうならないようにちょっと延期させてもらって、我々自民党を引き続き支持してくださいよ。」

というところでしょうか。

結局安倍政権の都合かよ、という話になりますが、解散権を持っているということはそういうことなのです。

日本国民のためだけに行使するお人好しはいません。

自分のためだけに行使した首相もいました。

日本国民のために行使を引き延ばして負けた首相もいました。

日本国民のため「にも」なる解散なら許容しなくてはなりません。

安倍政権の存続が日本国民のためになるのかどうかはよく分かりませんが、中国・韓国から嫌われていることは確かなようです。

今年も終わりが近付いてきました。後日、安倍政権の1年の実績の評価を、去年に引き続いて行いたいと思います。

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2014年11月 8日 (土)

川内原発再稼働~原発廃止にも人材が要る

川内原発再稼働に知事が同意しました。自分は、原発に色々問題があり、廃止したいのはやまやまですが、原発を安全に廃止するために、当面いくつかの原発の再稼働は必要と考えます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141108-00000004-mai-sctch

原子力規制委員会の審査が終わっていない中、伊藤祐一郎鹿児島県知事が7日、九州電力川内(せんだい)原発1、2号機の再稼働に同意した。知事が手続きを急いだ背景には、立地自治体以外に再稼働判断への関与を求める声の広がりや、来春の統一選への影響を懸念した思惑が透けて見える。

日本の電力事情は好転しています。

火力発電では、原油先物が80ドルを割り、天然ガスも調達先を多角化しているところです。円安が問題ですが、行きすぎた相場は戻るのが常です。

太陽光発電はコストと送電網への負担から見直しの動きが始まりました。

そういう観点からは、原発再稼働は不要になってきました。

しかし原発の廃炉が容易ではありません。

事故を起こした福島第一の廃炉に全く目処が立たないのはもちろん、無事に運転を終了した東海発電所ですら20年以上掛かる見通しです。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%83%E7%82%89#.E5.8E.9F.E5.AD.90.E7.82.89.E3.81.AE.E5.BB.83.E7.82.89

そんなことになるなら最初から作らなければ良かった、と今なら言うでしょうが、既にあるものには、現実として対応していかなければなりません。

大事なのは人材です。

この先何十年も掛かる廃炉作業は、高度な技術者集団なしには完成しません。

リンクが切れてしまいましたが、去年、東電が3年ぶりに新卒採用に踏み切ったというニュースがありました。それでも300人余り、事故前の千人より大幅に少ないです。

原発事故以来新卒採用が途絶え、一方で千人を超える依願退職者が出ていました。

そんな状態が続いたら、福島第一の廃炉は到底達成出来ず、そればかりか人手不足で再び大事故が起こるでしょう。使用済み核燃料が当面の課題です。

その新卒の若者の立場で考えてみると良いです。

原発は終わった産業だ、と思えば、誰もなり手が居ません。そうなれば本当に終わってしまうのですが、その結末は、いわゆる「終了」ではなくて「破滅」です。

 

嘘でも良いから、原発は終わっていない、と思わせなくてはなりません。

彼等が定年を迎える頃まで仕事がある、と約束して初めて優秀な人材が集まるのです。

そのためには、一部の原発を再稼働したり海外に輸出して、仕事を続けなければなりません。

廃炉作業だけのために国がお金を出す、というやり方では、若者は夢を持てないし、仕事が終わればクビではモチベーションが上がりません。

苦渋の選択ではありますが、一旦始めてしまったものは投げ出すわけにはいかないのです。

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2014年11月 3日 (月)

2015年5月東京ディズニーランドの混雑予想

5月の月曜日は、公式の開園時間でも25日が混雑と予想されています。小学校の代休が多いからです。むしろ前日の日曜日の方が楽です。これに限らず、代休は鬼門です。

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2014年11月 2日 (日)

2015年5月東京ディズニーシーの混雑予想

来年の5月連休は長いので、遠くから多くの人が来そうですが、多少分散気味になるでしょう。そういう人達はディズニー以外にも行く傾向があるので。

一応、混んでいる予想にはしておきます。入場制限は例年5月4日に多いです。3日や5日にも広がるかも知れませんが、程度は軽いでしょう。

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2014年11月 1日 (土)

黒田バズーカ2は、原油価格維持策と消費税

日銀の追加緩和はサプライズでした。株高円安が顕著ですが、個人的には追加緩和は有害と考えます。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141031-00000102-mai-bus_all

日銀は31日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和策を決めた。これまで、長期国債などの金融資産を購入して市場に資金を供給する量(マネタリーベース)を年60兆~70兆円増やすとしてきたが、これを80兆円に拡大する。消費増税後の消費や生産の低迷が長引き、原油安もあって消費者物価の伸び率が鈍化しているためだ。想定外の追加緩和で株高、円安、金利低下が進んだが、効果が見えにくいことなどから日銀内でも賛否が分かれ、金融政策を決める政策委員9人のうち4人が反対した。

今回の追加緩和は、国内的には消費税増税のための政策です。経済指標が悪化しているので、下駄を履かせようというものです。

しかしこれは、一般の国民には恩恵のない話で、しかも消費税増税を決めたらそれで株高円高も来て帳消しになります。

帳消しになるので予め上げておく、という消費税増税ありきの話なら、本件は財務省主導ということになります。

さて、自分がそれよりも気にするのは、「原油安」です。

確かに原油の先物は直近で80ドルくらいで、今年上半期の100ドル超えと比べたら随分下がりました。それなのにガソリンスタンドの値下がりが緩いのは、タイムラグもありますが、円安で相殺されているのが大きいです。もっと下がってくれ、というのは多くの人の感想だと思います。

全体の経済政策としてインフレ、消費者物価指数の増大は正しいですが、自分が重視するのは「コアコアCPI」、消費者物価指数から生鮮食品とエネルギーを差し引いた指標です。エネルギーは、海外に流出するマネーです。これが多くてインフレになっては、我々の生活は全然楽になりません。逆に一見デフレでも、エネルギーが安くなれば日本国内で回るお金が増えて結果的には我々は豊かになります。

しかし、海外勢はそれでは困るようです。

アメリカのシェール革命は確かにエネルギーの革命ですが、採掘コストは高いです。原油1バレル相当のエネルギーの採掘に50-70ドルくらい掛かります。また、中東諸国では採掘コストは安いものの若者や外国人への社会保障費が高く付き、これを含めた採算ラインは80-100ドルまたはそれ以上なのだそうです。

これら産油国と、化石燃料に利権を持つオイルメジャー達にとって、原油価格維持は死活問題なのです。

イスラム国が最近有名です。化石燃料の観点でこれを読めば、政情不安によりイラク周辺の採掘が行われないことで値崩れを防ぐ、という意義があります。さらに、彼等の持つ石油施設をアメリカが空爆したこともこれを示しています。

最近有名と言えばエボラ出血熱も、世界の物流への悪影響が懸念され、10月中旬の相場下落の原因の一つです。

そんな彼等から、日本も原油の買い支えを手伝えと言われたのではないかと推測します。まして、原発再稼働なんてもってのほかです。

そんな彼等の利益と、日本の国益を両立する方法も無いではありません。

それは円高です。

円高になれば、ドル建ての原油相場が上がっても円ベースでの燃料価格は上がらず、丸く収まります。

1ドル110円の時に産業界が急激な円高に苦言を呈していました。それなのに日銀の金融緩和で終値1ドル112円ですから、今回の追加緩和は理解に苦しみます。

もし近い将来に大規模な経済ショックが起こるということなら、こういう名目で円安株高にしておくのは妥当と言えます。

そういうことなのでしょうか??

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