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2014年1月23日 (木)

誰得だった新ポスティング制度

田中投手のヤンキース移籍決定を祝福し、彼の活躍を祈ります。それにしても大きなお金が動いたものです。一体誰が喜ぶのでしょうか。

 

新ポスティング・システムで大リーグ移籍を目指していた楽天・田中将大投手(25)がヤンキースと合意したことが22日、分かった。米メディアは7年契約で、総額は1億5500万ドル(約161億2000万円)と報道。ヤ軍は、楽天に支払う譲渡金の2000万ドル(約20億8000万円)と合わせて約182億円を投資したことになる。

ヤンキースと田中投手の間の契約は7年160億円という途方もない額になりました。田中投手がそれほどのものを持っていると期待されているのは喜ばしいです。

しかしそうなると、「譲渡金」の上限20億円というのは、なんともちっぽけに思えます。

新制度が決まる前は、田中投手の譲渡金は100億円とも言われていました。

確かにそれは1球団が受け取る金額としては破格だったでしょう。

しかし、譲渡金が浮いた分が田中投手の給料に回ったはずです。

1選手が160億円も貰って、それこそ使い道がありません。球団に入っていれば選手育成や施設改修に使えたのに。

また、この制度下では、選手が球団に寄付することも禁じています。

楽天球団が貧乏な一方で、田中投手に使い切れないお金が留まることになります。

しかもMLBでは、譲渡金の上限が多球団の参入を促すと言われていたのに、実際には他球団は早々に脱落し、ヤンキースが高額で獲得しました。

市場原理に則って当然のことではありますが、譲渡金の上限設定なんて無意味だったのです。

球団に100億円は高すぎるにしても、入札金額の半分を元の所属球団(残りはMLBやNPBなどで分配)が受け取るなど、もっと柔軟なやり方があったはずです。

一体誰が得したのか。言い換えれば、誰が仕組んだのか。です。

自分は読売巨人軍のナベツネだと考えます。

彼は戦後の日本球界の大功労者ではありますが、それは巨人軍主導の繁栄であり、功罪共に著しいです。

彼にしてみれば去年日本シリーズで巨人が楽天に敗れたのは非常に悔しいはずです。

去年の選手年俸総額は、巨人が43億円、楽天は23億円でした。

貧乏な球団が大金を掴んだら、さらなる脅威として巨人優勝の障害になります。来年こそは巨人が日本一、を目論むナベツネには、ポスティング制度を元所属球団不利にする明確な動機があったのです。

因みに、元巨人の選手のメジャー移籍は3人居ますが、全員ポスティングではなく、補償の無い海外FAでした。金持ち巨人軍には譲渡金など要らないのです。選手には働けるだけ働いて貰おうという考えです。

手口も巧妙です。

MLBには入札金額の値切り、NPB選手会には球団選択の権利を餌に、NPBに対する共闘を働きかけたのです。

実際には、大物選手が金満球団に移籍する、という事実は変わらないのに。

NPB選手会には、所属球団に世話になっているのだから、もう少しNPBに配慮すべきだったと思います。

過ぎてしまったことは仕方ありません。

広島の前田投手の移籍には間に合わないでしょうが、次の制度改革の時には、もう少しNPB側に利益の出る制度になって欲しいものです。

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