同じ法律でも作ったのが仙谷と安倍では違う
どんな法律も、運用する・或いは適用される人々によって良法にも悪法にもなる、という典型例です。我々の生活と、我々の選ぶ政治家、これらのリテラシーこそ最も必要なことだと考えます。
衆院で審議が始まった特定秘密保護法案は、民主党政権が提出を検討していた当時の案に比べ、秘密の範囲が拡大されていることが分かった。法案を所管する内閣官房は「変更はない」と説明してきたが、実際には秘密の対象に「特定有害活動(スパイ活動など)の防止」が加わっていた。警察当局などの情報収集活動が一層チェックしにくくなる内容になっている。
「秘密保護法案は、民主党が進めていたじゃないか。同じ事でも民主党を批判せずに自民党を批判するのはダブルスタンダードだ」と、自民党は言いたげです。
自民党は巧妙、というか、こんな言い訳をしなくては法案を通せない世の中が素敵で悲しいです。
記事にもありますが、最近の同法案は、民主党政権の時から検討されました。
あの時は、尖閣諸島の衝突事件の「国家機密」が海保職員の手により日本国中の知ることとなり、秘密保全の必要性が議論されました。
あの件で恥をかいた仙谷由人が熱心に進めたのだろう、と自分は解釈しています。彼もこれほど早く政権を下りることになるとは思っていなかったのでしょうが。
民主党政権が提出を検討していたのは「秘密保全法案」。対象は(1)防衛(2)外交(3)公共の安全及び秩序の維持--の3分野だった。審議中の今回の法案は(1)と(2)は同じだが、(3)は無くなり、「テロリズムの防止」と「特定有害活動の防止」に変わった。法案を所管する内閣官房はこの変更について「より具体的にした」と説明し、秘密の指定範囲には変更がないと説明してきた。
毎日新聞の記事では、
(3)公共の安全及び秩序の維持
の分野が不明確です。
罪刑法定主義に則った司法制度を持つ日本国では、法律の文言はできる限り具体的であるべきです。
よって(3)の示す範囲が不明確な以上、毎日新聞のヘッドラインの
民主案より拡大
は不適切と言うべきです。
(3)の範囲を拡大解釈することが、運用上可能だからです。
これを、仙谷ならやるだろうが安倍はやらないだろう
というのが自分の信念です。この2人の実績に基づく、個人的な思いでしかありませんが。
しかしいずれにせよ、秘密保護は国家にとって必要なことです。
情報戦は、古くは外交防衛、現代日本でも、経済・条約の分野で大事な問題です。
日本国にこれが無いから情報がダダ漏れになり、外国相手に不利な条約を結ばされたり儲からない取引を強いられるのです。
交渉の前にこちらのカードや意思が覗かれていたら、絶対に勝てませんから。
町村氏は、
一方、自民党で法案を取りまとめる際にプロジェクトチームの座長を務めた町村信孝元外相は9月「安全保障が問題になっている時に、日本は相変わらず『スパイ天国』と言われると(米国などから)必要な情報を受けるのが難しくなる」と、スパイ防止の必要性を強調した。
なんて言っていますが、本音は、
(米国露中朝韓などによって)必要な情報を奪われたくない、です。
日本国の国益のために情報管理は必要です。
日本国民は、管理者を選ぶ権利を持っています。
世界を見渡せば、これが幸せであることに気付くはずです。
そして、この権利の行使の仕方を間違えないことが大切なのです。
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