経産省官僚も「バカッター」
迷惑行為を自らTwitterで発信する者は「バカッター」と呼ばれますが、彼もその仲間入りです。いくら思うところがあっても、外に表現して良いかどうかは弁えないといけません。
経済産業省の男性キャリア官僚(51)が匿名ブログに、東日本大震災に関連して「復興は不要だ、と正論を言わない政治家は死ねばいいのに」などと書き込んでいたことがわかった。同省は26日付でこの官僚を停職2カ月の懲戒処分にした。
現代のネットの力は恐ろしいもので、渦中の官僚は、名前もバレてしまい、削除されたブログも魚拓化されて残っています。
暴言失言も以前なら内々で処理されて問題にならなかったのでしょうが、今は世界中に見られています。問題とされればあっという間に拡散し、処分がなければ非難囂々という時代です。
ネットが罪なことばかりか、と言えばそうではありません。使いようによっては非常に便利であり、特に情報収集に関しては20年前とは比較になりません。
その中の有力な一つに、誰々はどう考えている、ということがあります。
総理大臣がメーリングリストを作ったのは、自分の考えをマスコミを通さずに国民に伝えるという点で非常に有用でした。最近はFacebookですが。Twitterを駆使する政治家も居ます。言えないことは多々あるにしても、彼等の本音の一端を理解することが出来ます。
自分も数年ブログをやっていますが、医師としての本音を所々で述べてきました。抱えている問題意識、医療事故裁判の感想、医療現場の大人の事情などなどです。
世の中には色々な人達が居ます。政治家、経営者、スポーツ選手、専門職、サラリーマン、主婦、学生、フリーター、ニート、工作員、本当に様々です。その中で、自分が経験できるのはごく一部です。現代は、自分以外の膨大な知識経験を、多少とも追体験できるという便利な時代です。
「復興は不要だ、と正論を言わない政治家は死ねばいいのに」
彼の発言は暴論ですが、その立場にいて初めて感じ取れることもあるのだと思います。
自分は興味があります。何で復興は不要なんだろうって。
考えてみれば、被災地の多くは過疎地です。復興に注力しても費用効果は低そうです。彼は、経産官僚として、もっともっと詳しく分かっているはずです。彼が「正論」と断じるからには、復興に関連した仕事をしている人達にとっては公然の秘密なんでしょう。
彼には、何で復興が不要なのかを、論理的に説明してほしかったです。そうすれば、批判する人も多いでしょうが、少なくとも自分は彼に共感したであろうに、というのが惜しいところです。
しかしやっぱり、彼は間違っています。
「死ね」というのは、実に短絡的です。彼のブログの中に「リセット」という言葉もありました。どんなに上手く行かなくても、責任ある立場の人間は「死」や「リセット」という形で解決することは許されません。そこに居る人達をの生命や生活を破壊するからです。
彼も公務員試験に合格した頃には青雲の志を抱いていたはずです。それが複雑怪奇な現実の中でやりたいことが出来ずに心を磨り減らし、ストレスをブログで発散する生活になってしまったのでしょう。
でも、大人の人間なら、やりたいことが出来ないことなど当たり前だと知っています。不自由な中で一歩でも前に進めたら上出来です。彼は、復興事業に関わったりミラノ国際博覧会の日本政府代表を務めたり、大きな仕事もしています。
ネットではクビにしろという意見も多いですが、それによって苦しむことになる人達も多いと推測します。
彼にはこれを機に自重するか、もっと丁寧な情報発信を望みたいです。
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