橋下氏が「慰安婦」についてかなり思い切った発言をしています。個人的には、正論でも立場というものがある、という考えですが、今回の発言にはきっと彼なりの思惑があるのでしょう。それにしても、この国で、与党の右から圧力が掛かるというのは面白い事態です。
大阪市の橋下市長の発言をめぐって、波紋はさらに広がっている。いわゆる「従軍慰安婦」をめぐる発言に、疑問や批判などの声が上がる中、橋下氏は14日も、ツイッターで持論を展開した。
橋下氏は14日、ツイッターで「人間に、特に男に、性的な欲求を解消する策が必要なことは、厳然たる事実」とつぶやいた。
最近の世論調査では、維新の会は支持率を下げています。自民党が半分近くを占めているのに対して、維新と民主がそれぞれ1割程度です。草刈り場と思っていた民主並の支持しか無い、というのは衝撃です。
直近の支持率低下の原因と思われるのが、川口順子環境委員長の解任劇です。
中国要人との会談のために環境委員会を流会にした責任を問われて解任になったわけですが、その問題の根本に野党による妨害があり、政権を下りて先祖返りした民主党はもちろんですが、維新の会まで「反対野党」に堕ちたという、日本国民の失望を買うことになりました。
今回の一連の橋下氏の発言は、そんな支持率低下に対するテコ入れの意図があると推測します。
伏線というか資格はあります。
3月に維新の中山氏が衆院予算委員会で、朝日新聞による慰安婦の捏造についての質問を行い、大きな反響を呼びました。
今回、2ヶ月経って党首が公認した形です。
さらに石原氏も、
石原 慎太郎氏は「軍と売春というのは、つきものでね。歴史の原理みたいなもので。決して好ましいものじゃないけども、基本的に彼は、そんなに間違えたことは言っていないと思いますよ」と述べた。
と擁護しました。維新の会としての考え方だ、と公言したのと同じです。
そんな発言が出れば、自民党の閣僚は火消しに走らざるを得ません。
元記事には、谷垣氏、石破氏、稲田氏、小泉氏の発言が引用され、微妙な温度差が興味深いですが、ともかくも火消しの方向です。谷垣氏・石破氏は発言内容そのものは否定していません。稲田氏は女性ですから批判します。小泉氏には定見がないように感じられます。
この一連の動きで、維新の会は「戦後レジーム」に不満を持つ一定の日本国民の支持を得ようとしているのだと自分は考えます。
分かる人には分かりますが、戦争と性犯罪というものは何処の国もやっているのに、負けた日本だけが追及されるのは理不尽です。
理不尽だけれど強い力なので逆らえない、現実に妥協して生きているのが日本人であり自民党です。
後先考えずに逆らってみた、というのは格好良いかも知れませんが、日本国民は4年前にそんなものに騙されて痛い目に遭っているのです。
もう一回騙されますか?
個人的には、軍と売春は、人類の宿痾だと思っています。
生理学的には、テストステロンというホルモンが、闘争心と性欲を司るので、不可分です。これが出なくなれば、確かに解決出来るのかも知れませんが。
もしこれを排除できる世の中が出来るとしたら、争いの全くない理想郷の出現を待たなくてはなりません。「草食男子」は、それに向けての動きなのかもしれません。
実際、この「軍と売春」の関係は、古今東西においてかなり普遍的です。「男女平等」の概念よりも普遍性が高いです。
だから良いとは思っていませんが。
人類はそんなもので、では、地球上の各種動物に視野を広げたらどうなんだろう、なんて思います。
功利主義的には、子作りに要した手間に比例して子育てに手間を掛ける、という考え方があります。すなわち、メスにとって、苦労して産んだ子供を育てるのは、自分の苦労を無駄にしないための行為、というものです。
しかし現実にはそのスペクトルは幅広く、オスがハーレムを築く動物もいれば、オスだけが子供の面倒を見る種もあります。
それぞれに固有の事情はあるのでしょうが。
一つ確かなことは、今までずっと続いてきたことには、一定の理由があると言うことです。
もしそのあたりの方法(特に、生殖に関して!)を大きく間違っていたら、種が絶滅して現代に生き残っていないからです。
ではこれからの人類はどうなのでしょう?
今までずっと続けてきたことを、最近変えてみたわけです。
メリットは大きいようですが、弊害が無いとは言い切れますか?
壮大な実験と言えなくもありません。バックアップも取っているところが、意外と賢かったりして。
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