小国だからと舐めてはいけない
世界は繋がっています。小国の破綻も外へ連鎖し、投資家の気分が変わればマネーの動きも一気に逆流します。安倍首相の「今ここにある危機」は、地中海の島国で始まったのかもしれません。
【フランクフルト時事】ユーロ圏の金融支援と引き換えに銀行預金への課税を行うキプロスで、混乱が広がっている。国民が激しく反発しているほか、議会での関連法案可決も危ぶまれ、目標の19日朝までの徴収は不透明だ。
現地からの報道によると、同国中央銀行は取り付け騒ぎなどを防ぐため、「一時的かつ当面」、銀行の国内外での預金引き出しや振り込みなどの取引を停止するよう指示を出した。また、政府は祝日明けとなる19日に、混乱回避のため銀行を臨時休業させることを検討。議会採決に時間がかかれば、休業延長もあるとしている。
「預金封鎖」なんて、ギリシャ危機でも行われなかった荒技です。
国家単位ではキプロスの経済が最も悪かったようです。
遂に経済が破綻し、EUからの支援を受けることになったのですが、その条件として「預金に対する課税」を差し出しました。
同国には、金融監督ルールの緩さのためにロシアなどから大量の投資マネーが流入していました。
今回の預金課税を決断するに当たって、自国民よりも外国資本に対して多く課税しようという流れになるのは当然です。
しかしこれに対してロシアがどう出るか。
怒って制裁措置を発動するかもしれません。
さらに、キプロスはEU圏内のため、危機に陥っているギリシャなどへの波及が懸念されます。
実体経済としては勿論ですが、心理的にも、「うちの国も預金封鎖に遭うかも」とみんなが思えば一斉に預金を引き出す事態になります。
そうなれば多くの銀行の資金が枯渇して倒産してしまいます。
為替市場はユーロ/円で2円以上の円高という「窓明け」で今週が始まりました。
迅速に有効な対策を立てないと、上述の集団心理で大変なことが起こります。
欧州時間での市場の動きから目が話せなくなってきました。
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コメント
預金口座凍結とはまでするとはブログをみて始めて知りました。
市民が銀行に行列する姿が見え浮かびますが、臨時休業でそんなことすらできないなんて日本で同じことが起こったことを考えると恐ろしいですね。
日本のタンス預金は自治はリスクヘッジだったのですね笑
日本はこうならないように貿易国家としてTPPをうまく取り入れ、浄化と成長して欲しいと思います。
投稿: ピーターパン | 2013年3月18日 (月) 15時45分
コメントありがとうございます。
タンス預金は、個人レベルでは大事な防衛策でも、国家単位では経済の停滞なので自分は賛成できません。
キプロスのような事態になれば、国家存続のために預金封鎖は必要悪です。
そうならないための対策を立てることが先決ですね。
投稿: プー | 2013年3月18日 (月) 17時43分
やはり欧州債務危機が終わっているはずないですよね。ギリシャ スペインに波及しないよう願うばかりです。
ロシアも債務危機鎮火のため預金に目をつむってくれればいいんですが、おそらくまともなお金じゃないんで何らかの対抗措置をするんでしょうかね?
投稿: パズ | 2013年3月18日 (月) 21時53分
コメントありがとうございます。
最初の再建策は頓挫しました。
ロシアの横槍もあったかもしれません。
本当に破綻しないと分からないのでしょう。
投稿: プー | 2013年3月20日 (水) 19時33分