パンがないからとサーカスを
世界経済の歪みは広がるばかりです。日本まで参加した世界各国の金融緩和によって生活必需品が高騰しています。古代ローマの時代から「パンとサーカス」と言われたものですが、パンを配れないのでサーカスくらいは、という発想なのかもしれません。
国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)が絶大な権力を握る背景となっているテレビ放映権料のバブルが2013年、一気に弾けるかもしれない。鍵を握るのは「Free-to-air(無料)チャンネル」の存在だ。
欧州メディアなどによると、欧州連合(EU)の最高裁判所に相当する欧州司法裁判所の法務官は昨年12月、非公式ながらワールドカップ(W杯)と欧州チャンピオンズリーグ(CL)の無料チャンネルでの放映を認める見解を示した。「社会にとって重要だと位置づけられるイベントは誰もが見られるようにする手段を確保するため、無料チャンネルは必要」というのがその理由だ。(中略)
欧州司法裁判所の裁決によって無料チャンネルが正式に認められることになれば、“ドル箱”の放映権料が値崩れするのは免れないだろう。FIFAとUEFAは“バブル崩壊”によって大打撃を受けることになりそうだ。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
サッカーは世界的に最も価値の高いスポーツですが、その放映権料はずっと値上がりしてきました。
日本にいるとそのようなことは実感しませんが、その負担をNHKや民放が被っているので我々はW杯などを一見無料で観戦できています。
しかし最近、スペインの経済危機でW杯予選の同国代表の試合が放映されないという事態が発生しました。
値上がりし続けた放映権料も、いよいよ払えない国が出てくるようだと崩壊します。
今回の記事はその動きを加速させるものです。
基本的には、サッカーのマーケットを拡大して儲けたいFIFA・UEFAと、サッカーを無料で観たい欧州の人々の綱引きです。
メッシの年俸は1600万ユーロに上がっています。また、大会の度に放映権料の上がっている現実を見れば、ここは庶民に味方したい気がします。
しかし既にバルセロナは財政難です。経費削減を図る時に真っ先に犠牲になるのはサッカー以外の競技です。FCバルセロナは金を稼ぐ根幹の事業のため、ここを削るわけにはいかないのです。レアル・マドリードと激戦を繰り広げるから収入・人気を維持できるのであり、大事な収入源の放映権料が激減すれば今の選手達を維持できず、一気に零落の道を辿ることになります。
そしてFCバルセロナが没落したら、エトーにメッシより高い金を払うような大富豪の道楽チームがのさばってしまいます。前のW杯でアルゼンチン代表のメッシが輝けなかったように、メッシがアンジに移籍しても活躍できず、欧州サッカーがつまらないものになりそうです。
そんなわけで庶民の楽しみとサッカー界の未来の間で難しい問題ですが、その距離は大きく広がってしまったようです。
今回の経済危機で、欧州サッカーは何らかの形で大規模な再編成が行われるでしょう。
日本人選手のブンデスリーガ移籍は、意外とベストな選択だと思います。
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コメント
日本企業が放送権買い取れば、莫大な利益を産めるかも知れない。
なんて素人的な考えは置いておいて、企業がスポーツを守らないと人気が衰えて、スポーツが衰退してしまいますね。
金にならないことをやるのがプロだ。という時代は終わってしまったみたいですし。
投稿: ティガ | 2013年1月 7日 (月) 16時45分
金にならないことをやれるのも、金を持っていればこそです。
そのためには、強者に頑張って稼いで貰うように周りが盛り上げる必要がありますね。
投稿: プー | 2013年1月 7日 (月) 21時58分