自分は特別、と思っているうちは大成しない
若い頃の夢というのは、年を取ってから思い返すと恥ずかしいものです。ごく一部の人には夢がそのまま叶うのですが、この大谷選手では果たしてどうか。日本のプロで成功してからメジャーに移籍するので十分だと思うのですが、彼はそうではないようです。
大リーグ挑戦を表明している花巻東・大谷翔平投手(18)をドラフト1位指名した日本ハムの山田正雄GMらが10日、岩手県花巻市内のホテルで両親と入団交渉を行った。
山田GMが持参したのは、球団挙げて1週間かけて作成した資料。「大谷翔平君 夢への道しるべ~日本スポーツにおける若年期海外進出の考察~」と題した冊子はA4判25ページ、さらに別紙5枚にも及んだ。
「若いうちからメジャーへ挑戦することは統計的にも大変だよと説明しました」。同GMは約1時間半の交渉を振り返った。花巻市内のホテルの一室。プロジェクターまで使用して大渕隆アマスカウトディレクターが熱弁を振るったのは、(1)大谷選手の夢の確認 トップの世界で、長期にわたって活躍したいということの確認。
(2)日本野球と韓国野球、メジャー挑戦の実態 過去の成功、失敗例など実例を列挙。
(3)日本スポーツにおける競技別海外進出傾向 若いうちから海外へ渡るメリットについて卓球、スキーなど他競技と比較。
(4)世界で戦うための日本人選手の手法 いきなり世界へ飛び込むより、形をつくってから海を渡ることが成功への近道――の4点だ。
おそらく非常に論理的な説明で、自分にとっては読んでみたい内容と思います。
ちょっと調べましたが、日本人野球選手で日本プロ野球を経ずにメジャー入りした選手は、田澤純一、多田野数人、マイケル中村、マック鈴木ですが、マック鈴木の通算16勝が最高で、とても成功とは言えません。
メジャーリーグに有望選手は掃いて捨てるほど居り、自力で上がって来れない選手を助けてはくれません。
逆に日本の球団に入れば、VIP扱いです。多くのスタッフが彼を助け、最低でも一線級の選手にしてくれるでしょう。
日本で超一流になってから渡米しても遅くはありません。日本ハムにはダルビッシュという成功例があります。さらに、世話になった球団への金銭的な恩返しも出来るので、社会的にも円満です。
しかし、大谷選手には届かないでしょう。
彼は客観的に見ても特別です。田澤選手の現状を見ても、「自分は違う」と思うでしょう。
困難な道を乗り越えて掴む栄光にこそ価値がある、と考えているかも知れません。
しかししかし、現実は違います。
今まで誰も成し遂げられなかったことは今後も(少なくとも当分)誰も成し遂げられないと考えるのは普通だし、比較的楽な道を通ったとしても評価されるのは結果であり、困難な道を通って挫折しても誰も同情してくれません。
そしてそんな現実を、身をもって体感した時には手遅れなのです。挫折して日本に帰って来ても3年の復帰制限に阻まれます。
折角の才能が埋もれてしまう可能性は結構高いと思います。
それだったら、9割方はそこそこ以上の成功が約束され、超一流になれればメジャーに歓迎付きで入団できる、という道を選ばせたいのが親心です。
そんなわけで今回の日本ハムの説得の標的は大谷選手の親だと思います。
ずっと支えてくれた親に言われたら翻意するのではないか、という期待があります。
しかしもし、そんな親を振り切ってメジャーに挑戦するなら、その程度の人間であり、そんな人間に大成する資格は無いと自分は考えます。
一流のアスリートは皆、感謝の気持ちを持っているものです。
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コメント
優秀な人間こその悩みですね。
今までうまく行ってきたからこそ、自分なら出来ると思ってしまうのかも知れません。
両親の感謝を18歳の選手が何処まで感じているかは分かりませんが、
野球はチームプレーなので感謝の気持ちがなければ成立をしない気が致します。
投稿: ティガ | 2012年11月13日 (火) 15時10分
コメントありがとうございます。
その当時で納得できなくとも、先達の言うことは聞くべきだ、ということを、オッサンになった自分は分かるようになりました。
投稿: プー | 2012年11月13日 (火) 21時56分