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2010年10月 1日 (金)

共存するしかない

我々が思っていたより遥かに、微生物は逞しかったのです。このあたりで、「バイ菌は全て殺す」という固定観念から脱却しなくてはいけないと思います。そうでないと、近い将来に大きな大きなしっぺ返しを喰らうことになります。

帝京大病院(東京都板橋区)で多剤耐性菌アシネトバクターの院内感染が明らかになって10月3日で1カ月。他の病院でも同菌の院内感染が次々と判明し、病院側の認識の甘さや報告の遅れなどが問題視されたが、実は素早い対応を取った藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)でも感染は終息していない。取材を進めると、防止策の難しさや現場の苦悩、日本の院内感染対策の課題が浮かぶ。【福永方人、写真も】

そもそも、抗生剤を使うところで耐性菌が出現するのは当然のことです。

感染症の患者さんに抗生剤を使用すれば、必ずごく一部の菌は耐性化します(というか、たまたま耐性を持っていた菌が生き残るのですが)。

通常は、わずかに生き残った菌なら人間の持つ天然の免疫力によって死滅します。

ところが、免疫力の弱った人間では、そのわずかな菌も殺せずにこれが再び増殖してしまいます。

それを殺すために別の種類の抗生剤を使用する。

これを繰り返すうちに「多剤耐性菌」が完成します。

話はこれだけではありません。

その耐性菌は、医療スタッフの手を介して他の患者さんにも伝播します。

今回の「院内感染」は、これで感染が拡大したことが問題となっています。

しかし実際問題として、「院内感染」を完全に防ぐことは不可能です。

「全室個室の病院で」、「たくさんのスタッフがいて」、「感染していない患者さんも含めて全ての」、「患者さんに触れるたびに一々ガウンを着替えて手洗い」

こんなにコストやマンパワーをかけられる病院などこの世に存在しません。

現実にはどうしてもコスト・ベネフィットを考慮した対応にならざるを得ません。

その結果、ある程度は助けられない患者さんも出現します。でもその人達を完全に救うために医療のコストを倍増させることは、この国の現実として不可能です。

帝京大学病院の「死者34人」は許容出来ない、と思う人も多いでしょうが、全員が「多剤耐性アシネトバクター」によって死亡した筈はありません。

むしろ、全ての人を救おうとして、免疫力の低下した患者さんに繰り返し抗生剤を使用することで多剤耐性菌が出現してしまいました。

結局、バイ菌を完全に滅ぼすことは不可能なのです。

我々は、人類そのものに脅威とならない範囲のバイ菌なら、妥協して共存していかなければならないのです。

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