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2010年10月29日 (金)

殺人未遂に相当する

医療事故の中にはミスとは言い難い事例も沢山ありますが、これは悪質です。「傷害」ではなく「殺人未遂」で立件すれば良かったのに、と思います。むしろ、よく死ななかったな、と不思議です。

京都大病院(京都市左京区)で昨年11月、入院中の女性(94)に治療上必要のないインスリンが投与された事件で、傷害罪などに問われた元看護師・木原美穂被告(24)(辞職)に対し、京都地裁は29日、懲役1年6月(求刑・懲役3年)の実刑判決を言い渡した。

 (中略)

 判決によると、木原被告は患者の看護などにストレスを募らせ、容体を悪化させることで発散しようと考えて昨年11月14~16日、入院していた女性にインスリン0・6~5ミリ・リットルを計3回投与。低血糖発作を起こさせるなどし、一時、重体に陥らせた。

インスリンは1mlに100単位含まれています。

インスリンの効果ですが、個人差は大きいですが、糖尿病の軽めの人で1日6単位程度、重症な人では50単位くらい要します。

記事によると、インスリン0.6mlや5mlだそうです。0.6mlは60単位です。5mlでは500単位です。

60単位ならともかく、500単位の注射では、確実に死にます。

でも、「一時」重体だそうです。

ということは、その後に糖分補給して回復させた、ということです。

そうなると、愉快犯、という側面も見えてきます。

以下みたいなやり取りが想像出来ます。自分は医師なので、あくまでその立場での想像です。

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(11月14日夜)

木原:先生、XXさんおかしいんですけど。

当直医師:あれ本当だ。意識300(つねっても反応無いレベル)だ。

木原:XXさん汗かいてますね。もしかして低血糖じゃないですか?

(血糖測定、結果「Lo」(測定不可能なくらい低い))

当直医師:急いでブドウ糖静注だ。それにしても木原さん、若いのに賢いね。

木原:エッヘン。

(11月16日夜)

木原:(YYさんから怒鳴られた。むしゃくしゃする。思い切ってバイアル(薬瓶)の半分打っちゃお)

木原:先生、XXさんまたおかしいです。

当直医師:3日続けて何が起こってるんだ? とにかくブドウ糖だ。

(しかし全く回復せず)

当直医師:どうしたんだ、いくらブドウ糖を打っても回復しないぞ。

(XXさんの血糖はその後回復したが植物状態に)

木原:(うそ・・・こんなことになるなんて)

(後日)

主治医:色々検査したけど、XXさんの低血糖の原因がさっぱり分からない。

看護師長:先生ちょっと。あの夜は木原さんが3日続けて深夜(勤務)だったんですよ。あと、病棟のヒューマリンR(インスリンの商品名)が妙に減っているんですよ。

主治医:なにぃー!

病院長:これはもう犯罪だ。患者さんが回復していたら内々に処理するくらいでも良かったんだが、XXさんの遺族が病院を訴えてきたら大変だ。刑事事件にするしかない。

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患者さんの結末が違えば、話も違ってくるのですが。

看護師木原には、インスリンの危険性が分かっていなかったのかも知れませんね。

だからといって罪が軽くなるわけではありませんが。

インスリンはこのように、使い方を間違えば命に関わります。

特に低血糖が怖いです。

飲み薬でも起こるので、糖尿病治療を受けている方は皆、注意してください。

糖尿病の治療をして、その治療のために死んでしまっては何にもなりません。

自分は、糖尿病患者さんの治療に当たっては、まず第一に低血糖対策を考えながらやっています。

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