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2009年12月24日 (木)

延命治療中止の難しさ

患者さんが千葉県なのに富山県の地方版?? という気もしましたが、富山県の射水市民病院で外科医が末期患者の人工呼吸器を外した件が不起訴となったことに絡んでのテーマのようです。

院長様

意思の疎通を図れなくなったら、呼吸器を外して死亡させて頂きたく、事前にお願い申し上げます。

 07年5月、千葉県勝浦市に住む照川貞喜さん(69)は、家族全員の署名捺印(しょ・めい・なつ・いん)とともに、要望書を病院に提出した。
全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病「筋萎縮(きん・い・しゅく)性側索硬化症」(ALS)を患う。体が動かせなくなれば、延命治療をやめて欲しいと求めた。

この方は病気が進行し、現在は眼球と右頬しか動かせないそうです。全くの寝たきり状態で人工呼吸器なしでは生きられず、人とのコミュニケーションはおそらく眼球運動と文字盤を利用して行われている状況でしょう。

病気がさらに進行し、その眼球運動も不可能になったら、意思の疎通は不可能です。そうなったら人工呼吸器を外して死なせて欲しい、という切実な願いです。

この方は本当に気の毒です。医療技術は進歩しましたが、それはこの人にとって、「より不自由な状態でも死ねない」という意味しかありません。それでも家族の支えなどあって前向きに生きてきたけど、もう限界でしょう。

さらに恐ろしいのは、この人にとって「意思の疎通が図れない」=「意思が無い」ではないことです。意思はあるのに表現できなくなるなど、想像も出来ません。

しかし、この要望書を受け取った病院側は、1年近くに及ぶ議論の結果、「人工呼吸器を外すことは出来ない」という結論に至りました。

医療や倫理についてどんなに深く議論しても、結局は、

医師が逮捕されるおそれがある

要するに、どんな事情があろうとも「殺人事件だ」と警察・検察から言われれば医師は逮捕されてしまう法体系なのです。

射水市民病院の件では、

http://news.livedoor.com/article/detail/4515178/

「人工呼吸器の装着から取り外しの一連の行為は、延命措置とその中止行為に過ぎない」「2人の医師に殺意を認めることはできない」などとして不起訴処分とした。呼吸器の取り外しは正当な医療行為と認め「患者の本来の死期を早め、死なせたという評価はできない」

だいぶ苦しい言い訳のような気がします。言いたいことは分かりますが、結局は「人工呼吸器外し=死」なのですから。

こんな無理な理屈を捏ねなくては不起訴にならないような現状では、患者さんのためとは言え人工呼吸器外しは自分には怖くて出来ません。

この千葉県の方に対して仮に安楽死が行われた場合、倫理的な観点からは、「意思が(表明できないけど)ある」、「死が切迫していない」という点で、射水市民病院の件より殺人に近いことになります。それどころか、殺人罪の確定した川崎協同病院の件よりも悪質、と言われかねません。

延命治療の中止について明確な指針が出来れば良いのですが、自分が12月9日にアップした内容と同じで、おそらく作られることはないでしょう。議論には色々な分野の意見や利益が絡み合い、一定の結論は得られないと考えます。

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コメント

患者さん本人が人工呼吸を外してもいいという意思を確認できてない場合、非常に難しい問題ですね。

法整備をしようにも難しいでしょうし。

臓器移植カードのようなあらかじめ意思表示を確認できるような体制にするのが良いのでしょうか。

しかし、こういった件で医師に刑事責任が問われてしまうようでは、医療技術が上がってもますます医師不足になり、救われる命も救えない国になりそうで怖いです。(危ないものには触らないでおくのがいいというような考え)

他国と比較して医療環境は恵まれているだけに
患者も医師も最善を尽くせる社会になってほしいです。

投稿: 私も同感 | 2009年12月27日 (日) 11時07分

コメントありがとうございます。
全く仰るとおりだと思います。

>他国と比較して医療環境は恵まれているだけに

この点が周知されていないところにこの国の大きな不幸があるのだと思います。

投稿: プー | 2009年12月28日 (月) 08時57分

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